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スーダンのブルース・レジェンド アブドゥル・アジーズ・ムハンマド・ダウード

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黄金の宝が眠っていることはわかっているのに、
待てど暮らせど、いっこうに発掘されないスーダン大衆歌謡。
オスティナート・レコーズのヴィック・ソーホニーが手がけ始めたので、
その成り行きを見守っていたところ、まったく別のところから、
ヴィンテージものがひょっこりリイシューされました。

それがアリゾナ州トゥーソンを拠点とする
ブルー・ナイル・レコーズというレーベルがリリースした、
アブドゥル・アジーズ・ムハンマド・ダウードのリイシュー作。
アメリカに渡ったスーダン人が主宰しているレーベルのようです。

アブドゥル・アジーズ・ムハンマド・ダウードは、伝統的なハギーバから
スーダン歌謡の現代化が大きく進んだ60年代に活躍した歌手。
北部の町ベルベル出身で、生年はライナーには30年とありますが、
ぼくの手元にある資料では22年説と16年説があり、ちょっと不確かのようですね。

少年時代のクッターブ(コーラン学校)では、コーラン朗唱に優れた生徒だったものの、
歌が好きでよく大声で歌っていたダウードは、
音楽を禁じるイスラームの教えに背いたとして、よく鞭打たれとのこと。
47年にラジオ・スーダン(ウム・ドゥルマン・ラジオ局)で歌い始めたダウードは、
ハギーバなどの大衆歌謡ばかりでなく、スーフィーの古い聖歌や
コーランの一節を吟唱したり、即興のコメディを歌うなど、
さまざまなレパートリーを歌える歌手としてその才能が高く評価され、
スーダンの著名な作曲家や詩人が競うようにダウードのために曲を書いたといいます。

50~60年代に人気を博したダウードのスタイルは、「ブルース」と呼ばれ、
やがて「スーダンのハウリン・ウルフ」の異名をとり
(アメリカのブルース・シンガーとは無関係)、
このCDにも、「スーダニーズ・ブルース・レジェンド」と記されています。
ウム・ドゥルマン・ラジオ局の公式記録では、ダウードは49を超すアルバムを残し、
186曲を録音したとあり、国内ばかりでなくアラブ諸国をツアーし、
74年にはドイツ、アメリカへも渡っています。

本CDは、60年代のオリジナル音源をもとに、
93年に伴奏をオーヴァー・ダブして差し替えられたもの。
ディスク化されたのは、今回が初のようですけれど、
せっかくお化粧直しした音源を、なぜ眠らせておいたんでしょうね。
そこいらの事情はよくわかりませんが、
ヴォーカルと伴奏に不自然さはなく、違和感なく聴くことができます。
オリジナルの録音時期は、けっこう幅がありそうです。

アコーディオン、ウード、エレクトリック・ギター、ボンゴが繰り出す
まろやかなビートがたまりません。ヴァイオリン・セクションが舞う
エレガントなサウンドは、スーダン歌謡の醍醐味といえます。
ダウードの気っ風のいい歌いっぷりやこぶしの利かせ方は、
まさに熟練の味わいで、奥行きのある歌声に懐の深さを感じます。
ブルース・シンガーというより音頭取りと言った方が、日本人にはピタッときますね。
60年代のオリジナル音源も、ぜひ聴いてみたいものです。

Abd Al Aziz Mohammed Daoud "THE BEST OF ABD AL AZIZ MOHAMMED DAOUD VOLUME ONE" Blue Nile BLN1804
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