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21世紀に蘇るレンベーティカ ヴィヴィ・ヴーツェラ

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マリカ・ニーヌを聴いていて、この春カンゲキしたレンベーティカ新作を
取り上げそこねてたのを思い出しました。
これがデビュー作という、女性歌手ヴィヴィ・ヴーツェラのアルバムです。

デビュー作で、戦前スミルナ派のレンベーティカのレパートリーを歌うというのも
スゴい話なんですけれど、こういうアルバムがぽろっと出るところが、
まさしくギリシャ歌謡の奥深さなんでしょうねえ。
デビュー作といっても、それなりにキャリアを積んでいる人らしく、
レンベーティカの古典曲を集めた企画アルバムなどに録音を残していて、
古いレンベーティカへの並々ならぬ情熱がうかがえます。

あれ? この曲、知ってると、熱心なレンベーティカ・ファンなら、
耳馴染みのある曲も多いはずで、曲目をチェックしてみたところ、
2曲目の‘Marikaki’ と8曲目の‘Spasta Fos Mou’ は、
ローザ・エスケナージのよく知られた代表曲。

6曲目の‘Mesa Sto Pasalimani’ と9曲目の‘Spasta Fos Mou’ は
スミルナ派を代表する女性歌手リタ・アバジの歌で知られ、
3曲目のステラーキス・ペルピニアーディスの‘I Foni Tou Argile’ は、
ダラーラスもカヴァーした曲ですね。
タイトル曲の‘Kardiokleftra’ は、歌手以上にヴァイオリン、サントゥーリ、
ギターの演奏家として名高いヨルゴス・カヴーラスの曲で、
7曲目の‘Nisiotopoula’ もヨルゴス・カヴーラスの曲です。

1曲だけ戦後の曲が取り上げられていて、10曲目の‘Sevilianes’ は、
サロニカ生まれのユダヤ人女性歌手ステラ・ハスキルの曲。
47年の曲ということで、この曲のみ伴奏に弦楽オーケストラを加えて、
ゴージャスなサウンドにしています。

伴奏を取り仕切るのは、ヴァイオリンのキリアコス・グヴェンタス。
ロンドンのロイヤル・アカデミーでも学んだ音楽家で、
ライカからいにしえのレンベーティカまで通じるプロフェッサーと称される人とのこと。
古きレンベーティカの伝統的な編成を基礎としながら、
現代の息吹を感じさせるアンサンブルのアレンジが、
ヌケのいいサウンドを生み出しています。

そんなリフレッシュメントされたサウンドに応えるように、
透明感のあるヴィヴィの節回しが、実にさわやかで、
ディープでブルージーな前世紀のレンベーティカの猥雑さとは、別物ですね。
単なるスミルナ派の再現にとどまらないモダンなセンスが、
レンベーティカ消滅後、半世紀の時を経て、新たに蘇らせたのを実感します。
トルコのシャルクやサナートが再興したのとも、シンクロしているような気も。

Kaiti Ntali  TA REMBETICA.jpg

ジェネラル・ミュージックというこのレーベル、
12年にもケイティ・ンタリのレンベーティカ集を出していましたけれど、
レンベーティカ・ファンは注目する必要がありそうですね。

Vivi Voutsela "KARDIOKLEFTRA" General Music GM2392 (2019)
Kaiti Ntali "TA REMBETICA" General Music GM5288 (2012)
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