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悲恋を歌わせたら世界一 レー・クエン

Lệ Quyên  TÌNH KHÔN NGUÔI  VOL.6.jpg

少しごぶさたになっていたヴェトナムのボレーロ・クイーン、レー・クエン。
2年ぶりに、また彼女の歌に溺れる日々がやってきました(←喜んでる)。
う~ん、心おどりますねえ。

2年ぶりなのは、昨年リリースされた『チン・コン・ソン集』ががっかりだったから。
8年前のヴェトナム旅行でレー・クエンを発見して以来、
新作が出るたび、欠かさずに記事を書いてきましたが、
前作の『チン・コン・ソン集』は、さすがに書く気はおこりませんでした。

次作は『チン・コン・ソン集』という話が漏れ伝わってきた時点で、
イヤな予感はしていたんです。シロウトぽい歌手が、とつとつと歌ってこそ
味の出るチン・コン・ソンの曲をレーが歌うだなんて、
あまりにも歌い手の資質を無視した、無謀な企画。
彼女はどう対峙するつもりだろう、何か妙案でもあるのかしらんと気をもみましたが、
仕上がりは、彼女の持ち味と全くかみ合っておらず、レー初の失敗作。
アルバムが出るたび傑作というレー・クエンも、ついにつまづいちゃいましたね。

というわけで、ひさしぶりになったレー・クエンなんですが、
年初め早々から、いきなり2作同時リリースです。
前にもこういうことがありましたけれど、意欲満々じゃないですか。
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2014-02-18

実は『チン・コン・ソン集』もセールスは芳しくなく、イニシャルが4000枚だけ。
ところが、今回の2作は発売初日でいきなり7000枚がはけたとのこと。
ヴェトナム歌謡界で一番怠惰な歌手と、レー本人も告白するとおり、
これまでミュージック・ヴィデオの制作をしてこなかったものの、
今回は新作から2曲のヴィデオ・クリップを制作して、やる気も十分です。
発売前の1月3日にハノイ・オペラ・ハウスで、
発売当日の1月10日にはホーチミンで、新作お披露目のコンサートが行われたそうです。

ここ最近のレーは、若手作曲家によるポップス・アルバムと、
ヴェトナム戦前の作曲家たちによる抒情歌謡のボレーロ・アルバムを、
それぞれ制作していて、今回の2作もそれに従っています。
今回紹介するのは、第6集と銘されたポップス・アルバムの方。
「6」のカウントの仕方がいまひとつよくわからなくて、
というのも、もっと多くのポップス作を出しているからなんですが、
今回のパッケージ・デザインの美しさには、目を見開かされます。
アート・ディレクションのファッション・センスは、
今のヴェトナムのクオリティの高さを表していますね。
おなじみとなったホルダー・ケ-スには、
歌詞と美麗写真を表裏にしたカード6枚が入っています。

カード枚数からもおわかりのとおり、全6曲。
収録時間30分に満たないミニ・アルバムですが、内容は濃いですよ。
レー・クエンお得意の、情感たっぷりに悲恋を歌ったラヴ・ソング集です。
アクースティック・ギターを効果的に使い、ヌケのあるサウンドを作っていて、
レーの歌いぶりも重々しくならないよう、歌いぶりを変化させているのに気付きます。
軽やかなハイ・トーンを意識的に使い、発声の仕方を変えていますね。

それでも、にじみ出る情念の濃さは、レーならではでしょう。
悲恋を歌わせたら、この人を凌ぐ人は世界にいないのではと思わせるほど、
胸の奥を締め付けられるような深い情感を絞り出す。やっぱりスゴイですよ。
ヴェトナム語をまったく介さない人間が、その歌いぶりとメロディに、
これほど感情を揺さぶられてしまうのだから、
あらためて歌の力のスゴ味を思い知らされます。

Lệ Quyên "TÌNH KHÔN NGUÔI VOL.6" Viettan Studio no number (2019)
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