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自立するブラジル女性をサンバに描いて ジザ・ノゲイラ

Gisa Nogueira  DO JEITO QUE VEM.jpg

ジザ・ノゲイラの新作!
ま・ぢ・か!!
思わずディスプレイの前で、固まってしまいました。
40年も前に惚れ込んだ女性と、思いもよらぬところで、ばったり再会した気分。
もう、ドギドキが止まりませ~~~ん!

ジザ・ノゲイラは、70年代サンバ復興の立役者となったジョアン・ノゲイラの妹。
歌手の兄とは違い、作曲家として活動していたジザは、
当時兄のジョアン・ノゲイラはもちろん、
クララ・ヌネスやベッチ・カルヴァーリョに、曲を提供していました。
その作風は、都会に暮らす独身女性の感性に満ちたもので、
従来のサンバの世界にはない、シンガー・ソングライター像がすごく新鮮だったのです。

この当時、ジザと同じような立ち位置で、
サンバを自作自演する女性歌手にレシ・ブランダンがいました。
二人は、男が支配するマッチョなサンバ世界に新風を送り込み、
70年代のサンバ復興に、ブラジルの現代女性による視点を付け加えたんですね。
伝統サンバの世界で、ゆいいつの女性作曲家としていたドナ・イヴォニ・ララが、
裏方から表舞台に出てソロ・アルバムを出したのも、
そんな気運の高まりがあったからでしょう。

Gisa Nogueira 1978.jpg

ドナ・イヴォニ・ララの74年デビュー作“SAMBA MINHA VERDADE, MINHA RAIZ”、
レシ・ブランダンの75年デビュー作“ANTES QUE EU VOLTE A SER NADA”、
ともに忘れられないアルバムですけれど、ぼくが一番惚れ込んだのが、
78年にEMIオデオンから出たジザ・ノゲイラのデビュー作でした。
都会に暮らす自立した女性像をくっきりと打ち出したこのアルバムに、
ぼくはサンバ新時代の到来を感じたのです。

ちょうど同時期に出たメリサ・マンチェスターの“DON'T CRY OUT LOUD NOW” と
このアルバムが、ぼくには映し鏡のように思え、
ニュー・ヨークに生きるメリサと、リオに暮らすジザが、
ぼくのなかでシンクロしたのでした。

とはいえ、ブラジルではまだ早すぎたんでしょう。
本作は評判を呼ぶこともなく、ジザのアルバムはこれ1作のみで、
2作目が出ることはありませんでした。
ジザが表現した女性シンガー・ソングライターというスタイルは、
90年代のマリーザ・モンチの登場までブラジルでは先送りされ、
ジザ・ノゲイラという稀有な才能は、忘れ去られたのです。

ジョアン・ノゲイラも亡くなり、ジョアンの息子ジオゴ・ノゲイラが活躍する時代となり、
ぼくもすっかりジザのことを忘れていたところだっただけに、
突如登場した新作には驚かされました。
2年前に出ていたようですけれど、これが日本初入荷。

粋なサンバ・ジ・ブレッキからアルバムはスタートして、
カンゲキのあまり、とても冷静になど聞くことはできません。
ガロ・プレートのバンドリン奏者アフォンソ・マシャード、
カヴァキーニョのアルセウ・マイアなどの名手たちによる
サンバ・ショーロの伴奏で歌われるジザのサンバに感無量。涙、なみだです。

それにしても、この突然の復帰はどういうわけなんでしょう。
先日遅いデビュー作を出したジョアン・ノゲイラの甥っ子のジドゥ・ノゲイラは、
なんとジザ・ノゲイラの息子なんだそうで、えぇ~、そうだったんだと、あらためて驚き。

デジパックに納められたブックレットには、
サンバの作曲家らしく、全曲の歌詞と楽譜が付いています。
ジャケット裏には70年代に撮ったとおぼしき、ジザとドナ・イヴォニ・ララと
レシ・ブランダンが3人仲良く並ぶ写真のほか、
同じく70年代と思われるジョアン・ノゲイラとの写真も載っていて、
この当時から聴いてきたファンには、たまりませんねえ。

これを機に、ジザ・ノゲイラの78年盤も、ぜひCD化してもらいたいなあ。
そういえば、レシ・ブランダンのポリドールの初期作も、
まったくCD化されていないじゃないですか。
男性中心の保守的なサンバ・シーンにあって、
女性たちの新しい感性が萌芽していた時代の名作を、ぜひ再評価してもらいたいものです。

Gisa Nogueira "DO JEITO QUE VEM" Cedro Rosa CR201701 (2017)
[LP] Gisa Nogueira "GISA NOGUEIRA" EMI Odeon 31C062-421144 (1978)
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