So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン

WE ARE ALL ALONE ミスター・フィンガーズ

Mr Fingers  Cerebral Hemispheres.jpg

たゆたう鍵盤、その合間を縫うピアノの旋律、揺れるアンビエンスは、
まごうことなきミスター・フィンガーズのアンニュイな音楽世界。
はぁ~、もう、タメ息を漏らす以外、なにもできませんね。

ミスター・フィンガーズ名義では24年ぶりとなる今回の新作、
ラリー・ハードの名義でアルバムをリリースしていたから、
それほどのブランクは感じていなかったんですけれど、
オープニングの“Full Moon” が始まったとたん、
91年の“INTRODUCTION” と変わらぬ妖気が一気に流れ出てきて、
あっという間に部屋の空気を重く、そして濃いものへと変えていきます。

どうしたら、こんなせつないメロディが書けるんでしょうね。
都会の夜の寂寥感、ぬくもりの残るベッドに沈み込む甘い記憶、
押し殺しきれない哀しみ、痛みを耐え忍びながら揺れる思い。
そんなさまざまな感情を沸き起こすミスター・フィンガーズの音楽が、
けっしてドラマティックに盛り上がったりしないのは、
ハウスのビートが感情の高ぶりをなだめ、チル・アウトさせるからでしょう。

胸を締め付ける楽曲の数々は、
メロディカやヴィブラフォンの響きも取り込んだ、選び抜かれたキーボードの音色と、
デリケイトなビートメイキングによって支えられています。
これまでになく純度を高めた音楽世界は、
俗世間を解脱したスピリチュアルな領域へと足を踏み入れつつも、
フィーチャリングされたヴォーカリストが、俗界へ引き戻す役割を果たしています。

ジャケットの高層階から見える都市の風景は、
ガラスが雨に叩かれたからなのか、それとも涙に濡れた視界なのか。
耽美に堕ちることをよしとせず、都会の孤独に揺れる感情を丁寧にすくい上げる
ラリー・ハードの作曲能力が、最高度に発揮された傑作です。

Mr Fingers "CEREBRAL HEMISPHERES" Alleviated no number (2018)
コメント(1) 

コメント 1

ペイ爺

イイですねー、このサウンドの連なり。一見クールで無機的なんだけど実はwarm…。

ジャケットも秀逸。都会の冷たく甘美な孤独感をこれほど見事に捉えたデザインも珍しいのでは?今日のどんよりした天気にもマッチしてます。

還暦を迎えたオヤジの心の琴線に触れててヤられました。
by ペイ爺 (2018-07-05 11:05) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。