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母音の声を息に変えるマジック マイケル・フランクス

Michael Franks  THE MUSIC IN MY HEAD.jpg

決定的な1枚があるから、ファンと呼べるシンガーやミュージシャンがいます。
ぼくにとってマイケル・フランクスは、そういう人。
75年の“THE ART OF TEA” がすべてというか、
この1枚を溺愛するものだから、ほかのアルバムはどうしたって霞んでしまいます。

自分にとってのマスターピースが1枚あれば、わざわざ新作をフォローしなくてもいい、
そんな気分にさせる人の一人だったマイケル・フランクスですけれど、
なにか呼ぶものがあったんでしょうね。
新作を聴いてみたら、見事にハマってしまって、絶賛愛聴中であります。

40年以上経っても、何一つ変わらない音楽性。
音楽性ばかりか、歌いぶりだって、ぜんぜん変わっていない。
もともとウィスパー系の歌い手さんだから、経年劣化しにくいのか。
いやいや、そんなことないよな。マイケルは今73歳というから、
ジョアン・ジルベルトが初来日した時と同い年ですよ。

あの時のジョアン・ジルベルトなんて、すっかり老け込んで音域が低くなり、
90年代まではあった色気も、すっかりなくなっちゃってたもんねえ。
あの当時メディアは、奇跡の来日!なんて騒いでジョアンを神格化してたから、
そんなことを言う人は誰一人もいなかったけれど、
その後『イン・トーキョー』が中古盤店に山積みになってる事実が、
それをいみじくも物語ってますよ。客は正直ですからねえ。

それを考えると、マイケルの声のみずみずしさは、ちょっと驚異的。
あと、もうひとつ今回気付かされたのは、発声がすごく魅力的な人なんだなということ。
ディクションが明快で、歌詞の一語一語が、
すごくはっきり聴き取れるんですよね、マイケルの歌って。
これも“THE ART OF TEA” の時からまったく変わっていなくて、
子音を放つ時の発音が、とてもきれいなことに感じ入りました。
母音の声を息に変えてしまうことで、子音の響きがしっかりと立つんですね。
これって、ウィスパー・ヴォイスのマジックなのかな。

ボサ・ノーヴァやサンバのリズム使いのうまさ、
巧みなコード・プログレッションや転調によって生み出される、
フックの利いたソングライティング、
過不足ないバックが生み出すジェントルなサウンドは、マイケルの変わらない魅力。
新作、絶品です。

Michael Franks "THE MUSIC IN MY HEAD" Shanachie 5459 (2018)
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