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ポルトガルのカヴァキーニョ ジュリオ・ペレイラ

Júlio Pereira  CAVAQUINHO PT..jpg   Júlio Pereira  PRAÇA DO COMÉRCIO.jpg

ブラジルのカヴァキーニョの起源は、
ポルトガル移民が持ち込んだブラギーニャだというのが通説になっていますけれど、
どうやらこの説は不正確というか、ちょっと問題ありだということを知りました。
特に「ブラギーニャ」という固有名詞を使うのが問題で、
単に「小型弦楽器」としておけば良かったようなんですけれども。

そんなことが、ポルトガルのトラジソンからリリースされた、
マルチ弦楽器奏者ジュリオ・ペレイラの新作CDの解説に、詳しく書かれています。
100ページを超すポルトガル語・英語の解説が付いたこのCDブックには、
さまざまなタイプのカヴァキーニョや古楽器の写真も載っていて、
ちょっとした研究書といえますね。

ジュリオ・ペレイラは、13年にもトラジソンから同様のCDブックを出していて、
新作と一緒に買ってみたんですが、
こちらにもこの小型弦楽器の古楽器の写真が満載で、
楽器好きはたまらないCDブックとなっています。
タイトルを『ポルトガルのカヴァキーニョ』と謳うとおり、
ブラギーニャという名前は、いっさい出していないんですね。

インドネシアのクロンチョンやハワイのウクレレのルーツも、
ブラギーニャだと言われているんですが、それを伝えたポルトガル本国では、
ブラギーニャという名前は使われておらず、マシェーテと呼ばれているとのこと。
マシェーテは、ポルトガル北西部ミーニョ地方のブラーガという町で
製作されたのが始まりで、そのマシェーテがマデイラ島で発達したことから、
ブラーガで作られた楽器ということでブラギーニャと称するようになり、
マデイラ島出身のポルトガル移民がその名を伝えたようなんですね。

ところがポルトガルには、マシェーテとはまた別のタイプの小型弦楽器があり、
リスボンやコインブラでは、同じカヴァキーニョと呼ばれているのだから、ややこしい。
ジュリオ・ペレイラの13年作では、そんなさまざまなポルトガルのカヴァキーニョに加え、
ブラジルそしてカーボ・ヴェルデのカヴァキーニョを演奏した内容となっています。

さきほどのマシェーテの起源については、さらに奥深くて、
ミーニョ地方に伝わったのはガリシア人によるものという説があり、
古代ガリシアのギリシャの影響もあるとも考えられているようで、
要するに、このポルトガルの楽器の起源は、はっきりしないということなんですね。

クラウス・シュライナー著『ブラジル音楽のすばらしい世界』や、
田中勝則著『インドネシア音楽の本』には、マシェーテのことがきちんと記されているのに、
なんでいつのまにかブラギーニャ起源説が通説になったんでしょうか。

とまあ、この2作の解説を拾い読み(すみません、ちゃんと読み込んでなくて)して、
この記事を書いてるわけなんですが、
ジュリア・ペレイラは81年に『カヴァキーニョ』というタイトルのアルバムを出していて、
この2作はその続編、続々編なんですね。
演奏内容の方は、研究発表のようなオカタイものではなく、
ポルトガル各地の民謡、ファド、モルナ、バイオーンを取り入れたオリジナル曲に、
ガリシア民謡やブラジルの伝承曲などを爽やかに演奏しています。

Júlio Pereira "CAVAQUINHO PT." Tradisom TRAD081 (2013)
Júlio Pereira "PRAÇA DO COMÉRCIO" Tradisom TRAD105 (2017)
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