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チェット・ベイカーの黄泉がえり ライアン・ドライヴァー・クインテット

The Ryan Driver Quintet  PLAYS THE STEPHEN PARKINSON SONGBOOK.jpg

中性的な声質にスモーキーな脱力ヴォーカル、
こりゃまぎれもなくチェット・ベイカーですよ。
カナダ人ピアニストでヴォーカリストのライアン・ドライヴァー、
トロントで活動中とのこと。

「スティーヴン・パーキンソン・ソングブック」とタイトルにありますが、
そんな作曲家、いたっけか? 
ガーシュインやポーターなど、古い時代のスタンダード・ナンバーを思わす、
ロマンティックで古風なラヴ・ソングが並んでいるんですけど、聞いたことのない曲ばかり。
それもそのはず、スティーヴン・パーキンソンはトロントで活動するギタリスト/作曲家で、
ライアン・ドライヴァー・クインテットのために書き下ろした曲なんだとか。

よくもまあこの21世紀の世に、50年代のジャズ・ヴォーカルを
まんま引き写したようなアルバムを作ったものだと関心させられるんですが、
バックで不穏なサウンドを鳴らす、怪しき者がいるんですね。
ギタリストが不協和音をひっそりとまき散らしています。

シックな甘い歌の裏で、場違いなアヴァンギャルドな音を忍ばせ、
フリー・インプロヴィゼーションを繰り広げているという、摩訶不思議ぶり。
アート・リンゼイほどぶっこわれたサウンドじゃないんですけれど、
ペケペケとわざとヤスっぽくした細い音色の前衛もどきギターが、
ノスタルジックな叙情性に現代の響きを与えているかのようです。

アルト・サックスも、甘く優しいトーンで歌のメロディに添いながら、
いつのまにか、あれ? 今のはオーネットか? なんて思わせる、
ひしゃげたフレーズへ逸脱しては、また元に戻ったりを繰り返します。

ピアノ、ベース、ドラムスはあくまでもまっとうなフォービートで、
気品のあるプレイをするなか、
ギターとアルト・サックスが現代の情感をもたらす不安定さを表現するという面白さ。
彼らは古いスタンダード・マナーで、
現代に通用する新しいスタンダードを創ろうとしているのでしょうか。

実験的というほど尖っているわけではなく、
深夜にリラックスして聴けるラウンジーな雰囲気ながら、
謎めいたサウンドには中毒性があり、ここ最近の夜の愛聴盤となっています。

The Ryan Driver Quintet "PLAYS THE STEPHEN PARKINSON SONGBOOK" Barnyard/Tin Angel BR0330/TAR042 (2013)
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