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アフリカの音の快楽

African Gems.jpg

アフリカの民俗音楽に熱中していたのは、もう30年以上も前。20代前半の頃でした。
アメリカのフォークウェイズ、フランスのオコラ、
ドイツのベーレンライター=ムジカフォンといった、
民俗音楽専門レーベルの輸入盤を聴くだけでは飽き足らず、
解説を翻訳して清書し、図版や写真もコピーして、
日本語版解説に仕上げるという作業をもくもくとやっていました。
大学生の頃から、会社員になってもしばらくはやってたんじゃなかったっけ。
当時書きためたファイルを見ると、
よくもまあこんなに熱心にやってたもんだと、アキれちゃうんですけど。

Africa File.jpg

今回オランダのSWPから出た
アフリカのフィールド・レコーディング集“AFRICAN GEMS” には、
当時夢中になって聴いていたフィールド・ワーカーの名前がずらり並んでいて、
懐かしくなりました。
一番多く収録されているのがシャルル・デュヴェーユの録音ですけど、
この人にはたいへんお世話になったんですよねえ。
アフリカのフィールド・レコーディングといえば、
シャルル・デュヴェーユとユーゴー・ゼンプがぼくの先生でした。

アフリカの民俗音楽は、完全に「勉強」のつもりで聴いていたので、
アフリカン・ポップスとは別腹ならぬ「別耳」で聴いてましたね。
そのせいか、ひとわたり学習したあとは卒業というか、
アフリカの民俗音楽から離れてしまいましたが、
お世話になった先生のことは気になるもので、
99年に始まったシャルル・デュヴェーユのかつてのフィールド録音を
CD化するシリーズ「プロフェット」には、また手が伸びたものです。

今回の“AFRICAN GEMS” は、かつてのオコラ盤のような民俗学的資料ではなく、
音の快楽を求める音楽ファン向けに制作された、
「音響作品」とも呼べるスグレモノの編集盤となっています。
シャルル・デュヴェーユのフィールド録音も、
こんなスゴイ録音があったっけ?と驚くようなトラックがあり、
思わず同じフィールド調査の録音をまとめたプロフェット盤と聴き比べてしまいました。

PROPHET 01  TCHAD.jpg   PROPHET 07  CONGO.jpg

10曲目のチャド、トゥプリ人(日本語解説のトウポウリは誤り)の
気鳴楽器のアンサンブルは、
まるで電子音のような肉声が混じり合うサウンドが強烈でびっくりなんですが、
同じ時のフィールド録音を収録したプロフェット盤の第1集には、
こんなスゴイ録音は入っていません。
2曲目のコンゴ共和国、バベンベ人の人形の形をした木製ラッパのアンサンブルも、
プロフェット盤第7集収録の音源よりはるかにエキサイティングです。

どうやらこれらの録音は、今回の編集盤で初ディスク化された音源らしく、
よくぞ発掘してくれました、ですね。
やはり学術的関心と音響的関心とでは、選ばれる音源も違うということで、
学術的に残された音源を、音響の美的な興味から捉え直すという作業は、
今後大きなテーマとなっていくような気がします。

音響的な興味と民俗音楽というと、
昔からリミックスという作業が繰り返されてきましたけれど、
文化的犯罪にもつながりかねない、
野蛮な行為に堕した悪例が山ほどあることを忘れちゃいけません。
求められるのは「リミックス」ではなく、新たな視点による「発見」であって、
そこに余計な「加工」はいりません。
アフリカ民俗の遺産に十分な敬意を払うことができ、
確かな目利きならぬ耳利きを持つマイケル・ベアードのような編者が、
これからも出てくることを期待したいですね。

Field Recordings "AFRICAN GEMS" SWP SWP043
Field Recordings "PROPHET 01 : TCHAD – BAÏNAOUA, BANANA, BANANA-HOHO, KADO, MOUNDANG-TOURO, TOUPOURI, TOUPOURI-KÉRA" Kora Sons/Philips 538712-2
Field Recordings "PROPHET 07 : CONGO - BABEMBÉ, BAKONGO, BALARI" Kora Sons/Philips 538718-2
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