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チアトロ・ダ・レヴィスタのサンバ イネース・ヴィアナ

Inez Viana  Samba No Teatro.jpg

ニーナ・ヴィルチやスサーナ・ダル・ポスのデビュー作で注目を集めたレーベル、
フィーナ・フロールのカタログにもう1枚、
レトロなサンバを歌う女性歌手のアルバムが出ていたことに気付きました。
本業は舞台女優というイネース・ヴィアナの、これまたデビュー作です。

イネース・ヴィアナは女優業だけでなく、音楽劇の監督もこなす才女で、
サンバ/ショーロやサンバ・ジ・ブレッキの古典的なレパートリーを素材に、
マルコス・サクラメントとソラヤ・ラヴェンレが共演したショー
“BREQUE MODERNO” の舞台監督を務めたのも、彼女なんだそうです。

古典サンバにも造詣の深いイネースのデビュー作は、
チアトロ・ダ・レヴィスタと呼ばれる音楽劇で使われたサンバを集め、その歴史を辿るという意欲作。
チアトロ・ダ・レヴィスタというのは、音楽を楽しむのがまだレコードやラジオではなく、
劇場だった時代に全盛を極めた芸能です。
時代でいうと、19世紀から1930年代くらいまでですかね。

曲目を見ると、一番古いのが1912年初演のシキーニャ・ゴンザーガの“O forrobodó” で、
1934年のノエール・ローザの“Tipo Zero”、
1936年のアリ・バローゾの“No Tabuleiro Da Baiana”、
1964年にシコ・ブアルキが音楽劇“Balanço de Orfeu” のために書いた“Tem Mais Samba”、
最新の曲は2007年のパウロ・セザール・ピニェイロの“Toque de Benguela”で、全12曲を収録。

さすがに、チアトロ・ダ・レヴィスタ全盛時代の古典曲ばかりではありませんが、
レヴュー劇の伝統が生きるブラジルでは、
今もアルバム・リリースと同時にショーが行われているので、
こういう企画が成立するわけですね。これが日本だったら、演歌を別にしたら、
中島みゆきの「夜会」ぐらいしかないから、こういうアルバムは作れないもんなあ。

チアトロ・ダ・レヴィスタの良さは、サンバばかりでなく、カーニバルのマルシャあり、
コミカルな歌あり、しっとりとしたセレナーデありと、広い作風の曲を楽しめること。
舞台映えのするポップな曲が多く、
エンタテインメント精神あふれるレパートリーをさまざまに料理した、
アレンジも楽しめるアルバムに仕上がっています。

ゲストに御大シコ・ブアルキも登場するほか、
テレーザ・クリスチーナのグルーポ・セメンチのメンバー、
ペドロ・ミランダも参加しています。そういえば、ペドロ・ミランダは以前、
チアトロ・ダ・レヴィスタの流れをくむ作曲家
ラマルチーニ・バボの作品集を出したこともありましたね。

ラパの若い新世代たちが古典サンバを再評価し、
積極的にレパートリーに取り上げるようになってから、はや十年。
かつては国の助成金をもらったプロジェクトで、
ひっそりとしか作れなかったような企画アルバムが、
フツーの商業レーベルから普通にリリースされるようになったことに、
まだまだブラジルも捨てたもんじゃないと、嬉しくなります。

Inez Viana "SAMBA NO TEATRO" Fina Flor FF042 (2012)
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