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ニジェールの熱風 タル・ナシオナル

Tal National  KAANI.JPG

うわあ、こりゃすげえ。
70年代黄金時代のアフリカン・ポップスを思わせる
ローファイ・サウンドに、ウナってしまいました。
ギネアのシリフォンやマリのクンカンといったレーベルが
ぶいぶいいわせてた頃の、あの当時の熱気が甦るかのようです。

アフリカン・ポップスのサウンドが、エレクトリックからアクースティックにシフトして、
サウンドの質感もすっかりクリーンになってしまいましたからねえ。
レコーディング機材が整備されるほどに、
音楽の表面もつるっとキレイキレイになってしまって、
お肌スベスベは女性だけで十分って、話が違いますけど、
昔の荒ぶるサウンドを懐かしむ気持ちは、
往年のアフリカン・ポップス・ファンなら誰もが持ってたはず。

そこに登場したニジェールのこのバンドのサウンドはどうですか。
やぶれかぶれなヴォーカル、やけっぱちに叩きまくるドラムス、
全員一丸火の玉となって突進するビート感の興奮を倍加させるのは、
世界最貧国のエンジニアリング(?)が作り出すナマナマしいサウンド。
粘っこいハチロク・ナンバーで、反復フレーズをひたすら繰り返す
エネルギッシュな持続力も、このサウンドなら一層映えるというもの。
う~ん、往年のシュペール・ビトンをホウフツとさせますねえ。

2000年にニジェールの首都ニアメーで結成されたタル・ナシオナルは、
国営テレビで人気が沸騰し、40を越す都市を回る国内ツアーに、
毎年出かけているというライヴ・バンドです。
本拠地のニアメーでは週5夜、休憩なしの5時間のステージを務めるという
ハード・スケジュールで、バンドは6人編成が標準ながら、控えを含めメンバーは総勢13人。
クレジットにギターとドラムスが3人、ベースが2人いるのは、そのせいですね。

世界最貧国のニジェールでは、録音機材はおろか楽器すら不足していて、
レコーディングするのもままならないようですが、本作のレコーディングにあたって、
バンドはシカゴ在住のアメリカ人エンジニアを雇い、蜘蛛の巣と埃まみれで、
機材の75%が壊れているスタジオを修復し、このアルバムを完成させたんだそうです。
ローファイなサウンドもそのためなんでしょうけど、
このムキ出しなサウンド・テクスチャーは、今後も失ってほしくないなあ。

ソンガイ、ハウサ、フラニ、トゥアレグといった多民族のニジェールを反映した音楽性や、
ニジェールの歴史や日常生活を歌うところは、ニジェールを代表するバンドとして知られる
ママール・カッセイと共通しています。
ボンビーノのようにデザート・ブルース関連のニジェール人ミュージシャンには、
海外から注目が集まりますけれど、ママール・カッセイやタル・ナシオナルのようなバンドは
なかなか日があたらないのが残念なところ。
ニジェールでは3作目にあたるという、タル・ナシオナルの世界デビュー作、快作です。

Tal National "KAANI" Fat Cat FATCD126 (2013)
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