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サンパウロのアヴァン・サンバ パッソ・トルト

Passo Torto.JPG

うっかり耳にしたら、気に入っちゃったよ、困ったね。
サンパウロのアヴァン一派によるサンバ実験作。
そんな触れ込みを聞いたら、普通ならソッコーそっぽを向くところなんだけど、
偶然聴いてしまったもんだから、しかたない。

前衛的なサンバを追及するシンガー・ソングライターのロムロ・フローエスに、
サンパウロのサンビスタのアドニラン・バルボーザや
パウロ・ヴァンゾリーニの影響を受けつつ、
カンドンブレ、ジョンゴ、バトゥーキなどの
アフロ・ブラジル音楽のリズムを研究するキコ・ジヌスィ、
セウにルイーズ・マイタからハービー・ハンコックまで共演して
大活躍のロドリゴ・カンポス、ベーシストで敏腕プロデューサーでもある
マルセロ・カブラルの4人から成る新グループです。

カヴァキーニョとコントラバスのピチカートだけで歌ってみたり、
カヴァキーニョやバンドリンの弦をひっかいたり、ボディを叩いたりしながら、
パーカッションを伴わず弦楽器のみのアンサンブルで
リズムを作るアクースティックな音像は、
まるで現代美術の作品を観るかのよう。

すごく実験的な演奏でありながら、奇をてらったところがまったくなく、
アヴァンな音楽性の中に、溢れ出る歌ごころを持っているところが、
ぼくのようなコンサバ・リスナーの耳も引き付ける魅力ですね。
じっさい彼らが歌うサンバは、どれもメロディアスで情感豊か。
楽曲に関して言えば、実験的・抽象的なところはまったくありません。

また、ロムロ、キコ、ロドリゴの3人がかわるがわる歌っているんですけれど、
3人共通してふくよかな低音の持ち主で、
朴訥としたシロウトぽい歌いぶりも好感が持てます。
実験的な音楽というと、ヴォーカルが金切り声をあげたり、
演劇ぽくなったりという先入観念が拭えないんですけど、
本作に関しては、そういうところは一切ありません。
隙間だらけの音作りが生み出す詩的な世界が、
彼ら独自のアート感覚を表現しています。

サンパウロの都会的な鋭い感性と、
豊かなブラジル音楽の遺産がコラボレートした作品です。

Passo Torto "PASSO TORTO" YB Music YBCD074 (2011)
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