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ヴィンテージ時代のタハリール エグバール・アーザル、ターヘルザーデ

Eghbal Azar EGHBAL AZAR VOCALS VOL.Ⅰ.JPG   Eghbal Azar EGHBAL AZAR VOCALS VOL.Ⅱ.JPG
Eqbal Azar 3.JPG   Eghbal Azar SINGING AT 100s.JPG
Taherzadeh TAHERZADEH VOCALS.JPG   Taherzade 2.JPG

イランのタハリールくらい、人間の声が持つ表現力のスゴさに圧倒されるものはありません。
オホオホオホオホオホ…と裏声と本声を行き来する技巧を駆使するその唱法は、
古今東西のこぶし音楽で最高度の技巧と賞賛されるのも、素直にうなずけますね。

ぼくは二十年前、イランの名歌手ゴルパのCDでタハリールを初体験し、
イラン古典声楽アーヴァーズの魅力に取り憑かれましたが、
その後イランのマーフール文化芸術協会が復刻する、
ヴィンテージ時代のアーヴァーズの名録音を聴いて、
ますます古典声楽の世界にのめりこむようになりました。

蝋管時代のヴィンテージ録音を聴いてよくわかったのは、
ゴルパの華麗なるタハリールのテクニックが、かなり洗練されたスタイルだということ。
タハリールは時代が下るほど、繊細かつなめらかになっていったようです。
それが証拠に、カージャール朝末期の名男性歌手エグバール・アーザルの蝋管録音を聴くと、
そのパワフルなタハリールに圧倒されます。
昔のタハリールは、速く・強い、というのが特徴。
100年以上も昔の録音と思えないそのなまなましさは、圧巻です。
ハイ・トーンばかりでなく、低い声でもタハリールをやっていて、
その壮絶ともいえる響きには、頭がくらくらしてきます。

1866年生まれのエグバール・アーザルよりひと回り下の世代にあたる、
1882年生まれのターヘルザーデを聴くと、ひたすらパワフルだったタハリールが、
天上から降り注ぐような華麗さを伴う表現へと変化したことがわかります。
ターヘルザーデは、即興のタハリールと詩を連続して歌う技巧を駆使し、
より高度な声楽形式を完成させた人として知られていますが、
タハリールの表現を深めた人でもあるのでしょう。

ターヘルザーデは、タハリールなしで詩のみを吟唱している曲も歌っていますが、
有拍の作曲された歌謡詩タスニーフではなく、あくまでも即興詩のアーヴァーズであるところに、
こだわりというか、即興を重視する姿勢がよく表れています。
解説によれば、当時アーヴァーズの歌手とタスニーフの歌手の間には一線が引かれていて、
アーヴァーズの歌手がタスニーフを歌うのは、プライドが許さなかったのだとか。

フリー・リズムのパートを拍節のあるパートより重視するイランの古典音楽は、
西洋音楽でいえば、カデンツァをメインとするのにも等しいことといえます。
繊細な即興感覚を尊ぶ美意識は、アラブ音楽やトルコ音楽にもなく、
世界中の音楽のなかでも稀な、イラン独特のものといえますね。

Eghbal Azar "EGHBAL AZAR VOCALS VOL.Ⅰ" Mahoor Institute of Culture and Art M.CD45
Eghbal Azar "EGHBAL AZAR VOCALS VOL.Ⅱ" Mahoor Institute of Culture and Art M.CD46
Eqbâl Âzar "SONGS OF EQBÂL ÂZAR 3" Mahoor Institute of Culture and Art M.CD256
Abolhasan Egbâl Âzar "SINGING AT 100S" Mahoor Institute of Culture and Art M.CD138
Taherzadeh "TAHERZADEH VOCALS" Mahoor Institute of Culture and Art M.CD44
Tâherzâde "SONGS OF SEYYED HOSEYN TÂHERZÂDE 2" Mahoor Institute of Culture and Art M.CD285
コメント(2) 

コメント 2

ナックル

つい半年ぐらい前まで タハリール といえば、ゴルパ しか知らなくて、その完璧な声のコントロールゆえ、この人が頂点で他は別に聞かなくてもいいだろうと思っていました。しかし、ネットで某音楽ショップのカタログを見ていると、名手と云われる歌手がまだまだいることを知り、Eghbal Azar、 Taherzadeh、 Mohammad Reza Shajarian 3者のCDを購入し聞いてみると、おっしゃる通り GolpaやShajarian と Eghbal AzarやTaherzadehでは、まったく感覚が違いますね。
簡単に言えば、現代の歌手はソフト、古の歌手は剛直というところでしょうか
天空舞うような Taherzadeh さえGolpaにくらべると剛直に聞こえます。
しかし、私は古の歌手がみんなこういう風な感じだったのかというと、そうではないと思います。
例えば ジョアン ジルベルトがボサノーヴァのプロトタイプのように云われますが、実はかれのスタイルや感覚というものはこの人ならではのものであり孤高のものだと思います。それと同じように、Eghbal AzarやTaherzadehも、この直情的な緊張感というものは、孤高のものではなかったのかと思っています。
そう思わせてしまうほどの魔力を、この音楽はもっていますね。
ちなみに、Eghbal Azarを聞いていると、ふと思い出したのが、フラメンコの テレモート デ ヘレスでした。剛直かつ直情的かつ繊細、畑違いながら、だぶって仕方ありません。
まだまだこのジャンルの音楽について無知なので、もっとすごい歌手がいるよ とか いや、それはちがうよ ということがあれば教えてください。



by ナックル (2011-06-21 23:22) 

bunboni

ぼくもナックルさんと同じ思いです。
音の悪さに敬遠してヴィンテージ時代の歌手を聞かない人も多いようなので、
ぜひ聴いてみてもらいたいです。
by bunboni (2011-06-22 06:51) 

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