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発展途上のコロゴが向かう未来 キング・アイソバ、アゴンゴ

King Ayisoba  1000 Can Die.jpg

今年はアフリカでキマリですね。
次々リリースされるアフリカ音楽新作の充実ぶりに、もう眩暈がしてくるほど。
去年もイキオイがあったけれど、今年のアフリカの絶好調ぶりは、ハンパない。
ヴェテランから新人、伝統寄りからエレクトロとのコラボまで、
間口の広い音楽性のアルバムが居並ぶところは、頼もしい限りですよ。

その絶好調ぶりの中でも、近年活躍が目立つドイツのグリッタービートから、
ガーナのキング・アイソバが登場です。
「おぅ、待ってました!」とかけ声のひとつもかけたくなるじゃないですか。
“WICKED LEADRERS” で世間の瞠目を集めたアイソバのコロゴでしたけれど、
アナログのみでリリースされていた“MODERN GHANAIANS” で聞かれた
ヒップライフ風味のコロゴのように、まだまだこの音楽には、
発展途上というべき可能性が、たくさん秘められているのを感じさせましたからねえ。

そんな可能性を引き出すのに、グリッタービートはうってつけのレーベルで、
ゲストにリー・ペリーが加わるという情報も、期待を高めるものでした。
で、届いた新作なんですが、もっと大胆にモダン化したかと思いきや、
意外に慎重なプロダクションを施していて、控えめなエレクトロ・ビートが、
コロゴ本来のリズムを強化する効果的な導入の仕方をしていて、感心しきり。
伝統的なコロゴのフォーマットやリズムを損なわない
デリケイトな仕上げに好感を持ちました。

こうしたプロダクションと真逆の仕事をしてるのが、
ミニマル・テクノのマーク・エルネストゥスですね。
ここ最近マークが関わったアフリカものを聴いてみると、
テクノ/ハウスのDJあがりのプロデューサーに典型的な、
上物と下敷きの関係でサウンドを組み立てているのがわかります。

アフリカのクロス・リズムを理解しない西欧人が作るリズム・トラックは、
自分たちの文化が拠って立つ、硬直した均等なビートに終始します。
アフリカの豊かなリズム感から、
見事なまでにニュアンスを取り払った貧相なリズム・トラックを、
トライバル・ビートだの、ドープな音響だのともてはやすのは、
ほんとガマンならんのですよ。アフリカのリズムをナメんじゃない、つーの。
パーカッションの修行にでも行ってこいと、言いたくなりますよ。

ちょっと話が横道にそれちゃいましたけど、
そんなアフリカン・リズムへのリスペクトなき、野蛮なエレクトロの手口とはまるで違う、
デジタル・ビートと伝統リズムを縦糸と横糸のように織り上げた、
デリカシーのあるプロダクションが、本作では聴きとることができます。

Agongo  I AM SUFFERING.jpg

一方、アイソバの新作を待つ間に聴いていたのが、
アイソバの助力によってデビュー作をリリースしたアゴンゴです。
アゴンゴは、アイソバより6歳若い80年生まれで、
アイソバを筆頭にコロゴの9人のミュージシャンを集めたオムニバス・アルバム
“THIS IS KOLOGO POWER” にも、本作のタイトル曲が収録されていました。
変幻自在の声音を駆使するアイソバや、怒鳴り声のボラ・ナフォほどの
強烈な個性はないものの、サビの利いたガラガラ声を振り絞り、
投げつけるように歌う大道芸人らしいヴォーカルは、味があります。

こちらは現地産そのままのアクースティックな伝統サウンドで、
コロゴを中心に、シニャカ(ボール大のシェイカー)、アボンゴ(太鼓)、
ブンテ(ひょうたん)、ロンガ(トーキング・ドラム)、ピリカ(フィンガー・ベル)に
笛が伴奏に付きます。1曲アイソバがゲストで加わった曲では、
“WICKED LEADERS” でも印象的だった、
ブブゼラのようなラッパがぶかぶかと鳴らされます。

コロゴは、ジンバブウェのモコンバと同じ立ち位置にある、
音楽シーンの中心から外れた、周縁から飛び出した音楽。
今後どこへ向かうかのかまだわからない、未来への可能性を感じさせます。

King Ayisoba "1000 CAN DIE" Glitterbeat GBCD044 (2017)
Agongo "I AM SUFFERING" Chop Time Music CTM04 (2016)
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