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オカロランのメロディをたどって クレア・ケヴィル

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ハープ・ソロに続いて、今度はクラヴィコード・ソロ。
う~ん、楽器の独奏アルバムっていうのも、いいもんですねえ。
じっくりと演奏と向き合えるのは、もちろんのこと、
演奏者の息づかいというか、緊張感が伝わってくるようで、
聴いているこちらの背筋も伸びるようです。
今回はアイリッシュのメロディと向き合っているわけで、
クラヴィコードという、いまどき珍しい古楽器の響きに、
なんだか17~18世紀のアイルランドの領主の館にいるかのようです。

主役のクレア・ケヴィルは、ゴールウェイ出身の女性コンサーティーナ奏者で、
コンサーティーナ講師を長く務めるほか、クレアFMの伝統音楽プログラムで
毎週プレゼンターを務めるなど、アイルランド音楽のブロードキャスターとしても有名な人だそう。
11年4月には、フィドラーの姉ブリーダとともに来日が予定されていたものの、
東日本大震災で中止になってしまったんですね。

クラヴィコードのソロ・アルバムというのは、ぼくにとってこれが初体験。
はじめはどうしても、音色の物珍しさばかりに耳が奪われがちになりますが、
何度も聴くうちに、レパートリーとなっているオカロランのメロディに惹かれるようになりました。
トゥールロホ・オカロラン(1670-1738)は、アイルランド伝説の盲目のハープ奏者で、
アイルランド最後の吟遊詩人といわれた人です。

オカロランが生前に残した200を超す曲は、今もハープ奏者ばかりでなく、
多くの楽器奏者が演奏し続けていて、前回話題にしたリーシャ・ケリーの新作でも、
オカロランの曲を演奏していましたね。
オカロランは、18歳で失明してからハープを修行し、まさに身一つで旅をしながら、
行く先々の土地の領主のために曲を作っては、歌い歩き続けました。

オカロランの知己に富んだ詩の才能や、作曲家としての才能を開花させたのは、
旅で出会った多くの人から援助の手を差し伸べられ、励まされたからで、
多くの人々の出会いが、彼の人生を豊かなものとしたことは間違いありません。
のちに上流階級の人々にも人気をよんだ成功者となるオカロランですが、
陽気で社交的な性格が幸いして、多くの人に愛されたんですね。
大酒呑みでもあった彼は、酒にまつわる失敗も数多くあったものの、
その憎めないキャラで切り抜け、周りから面白がられつつ、
温かな目で見守られていたようです。

そんなオカロランが書いた曲には、派手さのない美しさがあり、
ひそやかなロマンティックさや、哀愁味のあるところが胸に染み入ります。
冬の季節にぴったりの1枚ですね。

Claire Keville "IRISH MUSIC ON THE CLAVICHORD" no label CKCD003 (2015)
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