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椎葉民謡の明るさ

現地録音による椎葉の民謡.jpg

渋谷の國學院大學へ、宮崎県椎葉村の尾前神楽の公演を観に行ってきました。
公演に先立ち、宮崎県の神楽の概要や椎葉神楽の特色や演目に関する講演も行われ、
秋の土曜の午後にたっぷり4時間半、贅沢な時間を過ごさせてもらいました。

宮崎県の椎葉といえば、音楽学者の小島美子さんが録音された
『現地録音による椎葉の民謡』で、とてもなじみのある村です。
2枚組CD全62曲すべて無伴奏歌という地味な内容なんですが、
これほどピュアな美しさに溢れた日本民謡は、めったに聞けるもんじゃありません。
日本の民謡CDでは一二を争う、ぼくの最愛顧盤です。

民謡というと、一般にレコードに残されているのは、プロの歌手が歌ったものばかりで、
現地の普通の人が歌ったこういう本物の民謡は、なかなか聞けないんですよね。
職業的な洗練をまとわない歌は、過度な技巧とも無縁で、
聴く者の胸をすうっとすり抜けていくような爽やかさを残します。

このCDでとても感じ入ったのが、椎葉の民謡の「明るさ」と「おおらかさ」です。
椎葉の民謡は、東北や北海道の民謡と表情が違っていて、そこにとても惹かれます。
小島美子さんもCDの解説で、「西日本の民謡のもつ明るさもある」と書かれていて、
その秘密は、東日本の民謡には少ない律音階にあると指摘されています。

CDの解説には触れられていませんでしたが、
椎葉村は明治41年に柳田國男が訪れ、
翌年に狩猟伝承をまとめた『後狩詞記(のちのかりことばのき)』の出版によって、
民俗学発祥の地といわれた村だということも、だいぶ後になって知りました。

公演では、神楽曲の勇壮な舞と御神屋からの神歌や唱教を楽しめましたが、
面白かったのが、客座から神楽せり歌が飛び交うこと。
4人のお年寄りたちが歌うんですけれど、実に味がありましたねえ。
奉納者たちをせきたてたり、からかったりと、
ユーモアたっぷりな言葉かけが、とても楽しかったです。

弓の舞や矢の舞など、ほとんど連続スクワットのような踊りは相当にキツそうで、
二十代の若い男子がへとへとになってました。
神様もさぞ愉しんだことでしょう。

黒木タマヨ,黒木福一,中瀬守,蔵座輝美,甲斐光義,那須弥伊蔵,那須義男,椎葉成記,椎葉サダ子 ほか
「現地録音による椎葉の民謡」 財団法人ビクター伝統文化振興財団 VZCG8064~5 (1999)
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