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上海時代曲を歌う 林寶

林宝 上海歌姫.JPG

うひゃあ、なんだこの大きさは!
23センチ四方の大判サイズは、まるで写真集のよう。
タイトルとアーティスト名をデザインした透明スリップ・ケースを外すと、
CDとブックレットを納めた二つ折りの本体が現れます。
どんだけ豪華なつくりなんでしょか。

上海出身の女性シンガー林寶(リン・バオ)が昨年12月にリリースした最新作。
30~40年代の上海時代曲を歌った企画作と聞いてオーダーしてみたら、
やたらとでっかい荷が届き、???と思いながら箱を開けて驚いたというわけでした。

歌われているのは、周璇の「天涯歌女」に始まり、
潘秀瓊「情人的眼涙」、李香蘭「夜来香」、葛蘭「我要你的愛」「卡門」、白光「狂戀」、
姚莉「得不到的愛情」、呉鶯音の「明月千里寄相思」と、見事なまでにレトロなレパートリー揃い。
22ページのブックレットには、歌詞とそれぞれの曲の解説が、当時の写真と併せて載せてあります。

主役の林寶はバツグンの歌唱力を持ちながら、さりげなく歌える人で、
さらりと乾いた情感を感じさせる、すばらしいシンガーです。
周璇を意識した少女のようなコケティッシュな歌いぶりから、
しっとりとした大人の女性を表現する丁寧な歌唱まで、その変幻自在ぶりも鮮やかで、
う~ん、いいシンガーですねえ。

ジャズやラテンを溶け込ませた戦前上海歌謡を、
現代のセンスでブラッシュ・アップしたサウンド・プロダクションは、実にスムーズな仕上がり。
スウィング、タンゴ、フラメンコ、マンボなど、多彩な要素を織り込んだアレンジも見事なら、
アルバム・ラストで、港の船の汽笛や物売りの声、
ミュージック・ホールの観客の拍手をコラージュして、
ピアノとシンフォニー・オーケストラの優雅な短い演奏でアルバムの幕を閉じるという演出にも、
ウナらされました。

台湾の伊能靜が、95年に出した『百樂門小艶紅之快活歌』という企画作もありましたけど、
これまで聞いた上海オールディーズのリヴァイバル作のなかでは、間違いなく最高作ですね。
個人的には、レバノンの歌姫ハニーンの「アラボ・キューバン」以来のヒット作です。

林寶 「上海歌姫」 豊華唱片 STC1101 (2011)
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