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紆余曲折の再デビュー ヴィ・タオ

Vi Thảo  TÀU ĐÊM NĂM CŨ.jpg   Vi Thảo  CHUYẾN TÀU HOÀNG HÔN.jpg

新作と同時に再発売されたんですね。
ヴェトナムの新進女性歌手ヴィ・タオの12年作。

いったん12年にリリースされたものの、楽曲の権利関係がクリアされておらず、
発売中止の憂き目にあい、使用権の手続きに3年かけて、
15年にようやく再リリースとなったようです。
その間に新作を制作して、発売を見合わせていた「ボレロ第1集」の続編の
「ボレロ第2集」と共に、ドーンと勝負に出たといったところでしょうか。

あらためて、ヴィ・タオについて触れておくと、
04年のサオマイ・コンテストで注目されてデビュー作をリリースするも、
その後突如結婚して芸能界から引退してしまった女性歌手。
ところが、12年になって仕切り直しするかのように再デビューして、
2作目にあたるボレロ集を謳った“TÀU ĐÊM NĂM CŨ” を出すも、
さきほどの通り、発売中止になってしまったという、トラブル続きの不運な人。

その12年作をようやく入手したので聴いてみると、
レー・クエンが先鞭をつけた温故知新の戦前ヴェトナム歌謡曲集で、
古いヴェトナム歌謡のロマンティックな佳曲をしっとりと歌っています。
抒情味に深みはないものの、歌い口がスウィートなところは若々しくていいなあ。
ラスト9曲目が、ボーナス・トラック扱いとなっているのは、
今回の再発売ヴァージョンで追加したものなのかもしれませんね。

そして「ボレロ第2集」の副題のついた15年作は、なかなかの野心作。
プロダクションが保守的なロマンティック路線から少々逸脱していて、
冒険的ともいえるアレンジを、あちらこちらに施しています。
たとえば、4曲目や8曲目では派手なロック・ギターのイントロに、
この先どうなるのかと心配になるんですけれど、
歌が始まると、叙情的なメロディにちゃんと着地するというユニークな仕上がり。

6曲目では見事なブルース・ギターがフィーチャーされ、
その達者なフレージングにちょっと驚かされました。
ミュージシャンのクレジットがないんですけど、
これ、ヴェトナム人プレイヤーなんですよね? うまい人がいるなあ。
ほかにも、9曲目でスパニッシュふうのギターがフィーチャーされたりと、
これは大してうまくないんですけど、それが取って付けたように聞こえないのは、
アレンジャーの力量といえますね。

一方で、2曲目のタンコでは、短いながらギター・フィムロンのソロが聞けたり、
5曲目では琴や笛をフィーチャーしているものの、伝統歌謡でも、民歌でもない、
コンテンポラリーな仕上がりにしているところが新味です。
古い作曲家の作品を取り上げたノスタルジックなボレロ集が、ひとつのトレンドとなった今、
コンサバなプロダクションに風穴を開けようとする試み、支持できますね。

Vi Thảo "TÀU ĐÊM NĂM CŨ" Phương Nam Phim no number (2012)
Vi Thảo "CHUYẾN TÀU HOÀNG HÔN" Phương Nam Phim no number (2015)
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コメント 2

としま

アルバム・ジャケット(特に左の方。女性が髪をアップにしてうなじが出ているのを斜め後ろから見るのに、僕は極めて弱い)だけで一目惚れしてしまい、買ったのが、今日午後、エル・スールから届きました。

それで開梱してビニールを破るやいなや、聴いている真っ最中のボブ・ディランをストップして、二枚のヴィ・タオに切り替えて聴いたら、こりゃもう、なんというか、溶けてしまいました。蕩けてしまいました。それ以外の言葉がないです。

個人的には「コンサバなプロダクションに風穴を開けようとする」2015年作じゃなく、ひたすらコンサヴァ・ロマンティク路線の2012年作が断然好みです。ジャケットに映るうなじを眺めながら聴くとたまらない快感です。

三回続けて聴いて、予定していたボブ・ディラン(昨年末リリースの1966年ライヴ36枚組)に戻ると、まるでアホにしか聴こえません。

ヴィ・タオの2012年作、まだ今年は1月7日ですが、今年のベスト・ワンはこれで決まりです!
by としま (2017-01-07 17:21) 

bunboni

うわはは、ディランと連続で聴くには、あまりに世界が違いますね。
by bunboni (2017-01-07 18:52) 

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