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マロヤを太い根っ子にしたジャズ・ピアニスト メディ・ジェルヴィル

Meddy Gerville  FO KRONM LA VI (Fr).JPG   Meddy Gerville Fo Kronm La Vi (US).JPG

先々月の音樂夜噺では、海老原政彦さんがレユニオンから持ち帰られたCDを
いろいろ聞かせていただいたんですが、
なかでも抜きん出ていたのが、
マロヤ・ジャズを演奏するピアニスト、メディ・ジェルヴィルでした。
その時に流されたダニエル・ワロ作のマロヤ・ナンバーの“Barmine” にシビれ、
曲が終わるなり、イェー!と思わず声を上げ拍手してしまった、おバカな私。
すんません、場所もわきまえず。あんまりにもカッコよかったもんで。

で、その“Barmine” が収録されたメディのアルバム
“FO KRONM LA VI” をソッコー手に入れたんですが、
いや、このアルバム、すごい傑作ですね。
コンテンポラリー・ジャズの側面も楽しめる、一級品のクレオール・ポップ・アルバムです。
メディはピアノをプレイするばかりでなく、全編で歌ってもいるんですが、
甘い声の持ち主で、歌手としても魅力のある人です。

マロヤ・ジャズというので、聴く前は、また小器用なジャズ・ミュージシャンが、
マロヤのリズムだけ借用してんだろと思ったら、そんな低次元の作品ではありませんでした。
これまでもレユニオンには、マロヤとレゲエをミックスしたマロゲだの、
ズークとミックスしたマズークだの、マロヤを表面的に取り入れた、
ココロザシの低いミクスチャー・アルバムがクサるほど出ていたので、
つい警戒してしまったんですけど、その頃から20年近く経って、
レユニオンのポップスもレヴェルが上がったのを実感します。

それにしても、メディはすごい。
自作曲はすべて6拍子か変拍子。
カヴァー曲も、スティングの6拍子曲“It's Probably Me” や
デイヴ・ブルーベックの5拍子曲“Blue Rondo A La Turk” を取り上げるなど、
変拍子の急速調リズムに鮮やかにのりながら、流麗なピアノ・ソロを披露しています。

Meddy Gerville Jazz Amwin.JPG

さらに、メディのジャズ・ピアニストとして才能を発揮したアルバムに、
06年のストレイトなジャズ作“JAZZ AMWIN” もあります。
こちらも6拍子を中心に変拍子が満載で、メディの体内に、
8分の6拍子のマロヤのリズムが完全に血肉化しているのを実感できます。
どの曲からも、じっさいは鳴っていないカヤンブ(マロヤで使われる大型シェイカー)の
リズムが聞こえてくるようです。

ドラムスにオラシオ “エル・ネグロ” エルナンデス、
ベースにドミニク・ディ・ピアッツァを起用したのも大正解で、
二人の卓越したテクニックによって、6拍子系のリズムがしなやかにグルーヴします。
この二人が参加していると聞いたら、興味をそそられるジャズ・ファンも多いのでは。

“FO KRONM LA VI” はレユニオンでも大きなセールスを上げ、
その後、曲を一部削り曲順を変えた新装版が、全世界に向けて再発売されました。
ぼくも最初に買ったのが12曲入りの新装版のアメリカ盤(写真右)の方で、
後から17曲入りのオリジナルのフランス盤(写真左)の存在を知りました。
どちらもジャケットはほぼ同じで、
わずかにロゴタイプのみが微妙に違っていますが、CD番号は異なります。

オリジナルから削られたのは、
メディのピアノとマロヤのパーカッション隊による短いインタールードのインスト演奏で、
逆に新装版には、スティングの“It's Probably Me” が追加収録されています。
マロヤ・ジャズを標榜するメディらしさは、
オリジナル盤の方がくっきりと表れているといえますが、
新装版のスティングのマロヤ・カヴァーも秀逸なので、
どちらが良いかは迷うところです。

Meddy Gerville 7eme Ciel.JPG

昨年リリースされた新作“7ÈME CIEL” は“FO KRONM LA VI” のヒットの余勢で、
よりコンテンポラリーな仕上がりとなっていて、
クレオール・ポップの好アルバムとなっています。
こちらはジャズ色がやや後退して、フュージョンぽくなったともいえるかな。
メディのマロヤ・ルーツがホンモノであることが、ラスト曲でさらりと表れていて、
ゲスト参加したサックス奏者の父とともにマロヤを演奏しています。
メディがマロヤを太い根っ子としていたのは、父親譲りだったというわけですね。

Meddy Gerville "FO KRONM LA VI" Muzik Export Association MG006.08 (2008)
Meddy Gerville "FO KRONM LA VI" Muzik Export Association MG008.11 (2011)
Meddy Gerville "JAZZ AMWIN" Muzik Export Association MG005.06 (2006)
Meddy Gerville "7ÈME CIEL" Muzik Export Association MG007.11 (2011)
コメント(7) 

コメント 7

Astral

おぉ!これは是非とも聴いてみたいですね。
エル・ネグロとドミニク・ディ・ピアッツァを従えるとはピアノの腕も並ではないとうことでしょう。その上歌も歌もいけるなんて。
早速オーダーしましたよ。楽しみです。
by Astral (2012-04-15 21:42) 

bunboni

そうなんです。これだけ弾けて、しかも歌える人って、めったにいませんよ。
by bunboni (2012-04-15 22:10) 

raidaisuki

bunboniさま
ご無沙汰です。

これはいいですね! さすがbunboniさんです。

インド洋地域が「来る」か、という感じで某所で紹介させていただこうと思うのですが、貴ブログ情報、参考にさせていただいていいでしょうか?

by raidaisuki (2012-07-10 07:47) 

bunboni

マダガスカル、コモロ連合、モーリシャス、レユニオン、セーシェルと、
それぞれに歴史あるインド洋音楽を詳述した日本でゆいいつの本が、
拙著『ポップ・アフリカ700』と、手前ミソながら自負しております。
こちらもぜひ参考にしてくださいませ。
by bunboni (2012-07-10 20:08) 

ペイ爺

いやー、この人スゴイですね、ホントにー。例えば、“Jazz Amwin” の “Vals’ Oya”。Miles Davis の “Nardis” や Bill Evans の “Waltz for Debby” に匹敵する様な美しく流麗な旋律を持つこの曲に、Meddy の HP やtwitter にも載ってますけど、Brooklyn の LiVE では凄腕Bass Man の Michel Alibo に「加えて」更なる凄腕 Bass Man を起用のダブル・ベースの大Funkが炸裂!どうしてこういう素晴らしい発想が出来るんだろう!Miles Davis やBill Evans(Pianoの方)同様、もう Meddy から離れることはできませーん。イスラエルやレユニオンで、これからLive やるみたいだけど、日本にも来てくんないのかなあー。
by ペイ爺 (2017-09-11 23:17) 

bunboni

新作もどうぞ。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-04-09
by bunboni (2017-09-12 06:13) 

ペイ爺

>新作もどうぞ。
毎日聴いてる “Tropical Rain” は、4ヶ月目に突入いたしました!たま~に、ですけど、一曲目の“Aerofeel”(とアルバム最後の曲 “Sanm Ou Mi Ve”) の、あの南国の楽園に降り注ぐ、爽やかで涼しげな驟雨のようなピアノのメロディーが、夢に出て来ます。
by ペイ爺 (2017-09-12 13:15) 

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