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リイシューはインディの仕事 古川ロッパ

古川ロッパ.jpg

リイシューって仕事は、大手のレコード会社ではそもそもできないんじゃないでしょうか。
アーティストに対する深い知識ばかりでなく、対象への愛情や復刻への情熱がなければ、
そう簡単に復刻や編集という重い仕事を担えるもんじゃありません。
紙切れ一枚で部署を異動したり、担当替えとなるような大企業のサラリーマンに、
そんな愛情や情熱を持てというのが、どだい無茶な話。

だから大手のレコード会社のリイシュー盤ほど、
適当な編集でお茶を濁した、でっちあげ編集盤が横行するわけです。
そんな粗悪盤でもまだ世に出ればいい方で、メジャーが原盤権利を抱えているがゆえ、
世に出せない作品がどんだけあるか、わかったもんじゃありません。

戦前ブルースやカリプソをはじめ、歴史的な研究とともに丹念な復刻をしてきたのは、
その国の人間ではない、外国人コレクターたちによるインディ・レーベルでした。
外国人が発掘するまで、その国の人たちが関心すら持ってなかったなんて例も枚挙暇がなく、
原盤権を持つレコード会社が自社の保有する宝に気付かないのも、当たり前な話なわけです。

なんでこんな話をするのかというと、古川ロッパの復刻集を手にしたからなんですね。
古川ロッパは日本の喜劇王としてエノケンと並ぶ存在でありながら、
オムニバスなどでわずかに復刻されるばかりで、LPの1枚すら出たことがありませんでした。

そんな長き空白時代を埋め、復刻にこぎつけたのは、やはり熱心なコレクターによるもの。
バートン・クレーンの復刻CDで一躍有名になった、
Live Cafe AGAIN店主の石川茂樹さんによる、すばらしいお仕事です。
全20曲が収録されていますが、そのうちの4曲の音源を、
郵政法案に反対して自民党を離党したことで有名になった城内実さんが提供したなんて話には、
ぼくも、へえーと、びっくりしてしまいました。
なんと城内さんはSPレコード蒐集家で、日本音盤倶楽部理事を務めているのだとか。
そういう熱心なコレクターたちの情熱が結集したからこそ、
こんなすばらしい復刻盤ができるんですね。

詳細なディスコグラフィや充実した解説満載のライナーを読んでいると、
研究家の郡修彦さんの解説に、こんな一文がありました。

「尚、本CD企画当初は古川緑波の最初のレコードである『ポリドールレコード』音源である
『声帯模写オン・パレードカフェ篇)』と『僕は天下の人気者』を
従来の復刻盤よりも格別に高音質にて収録予定でしたが、
現在の後身会社であるユニバーサルミュージックより使用許可が下りずに
断念せざるを得ない状況になりましたことをお詫びいたします」

大手のレコード会社は、自分のところで復刻盤をまとめる気などさらさらないくせに、
他が作ろうとすると、使用許可は出さないという、ケチな根性だけは持ち合わせているわけです。
こういう了見が大手レコード会社の姿勢なんだから、ほんとにウンザリさせられます。
リイシュー作業するような能力自体、大手のレコード会社にはそもそもないんですから、
復刻をしようとするインディの仕事には、進んで門戸を開放すべきです。
それこそが、大手レコード会社のメセナってもんじゃないでしょうかね。
業界再編と不況に揺れるレコード業界が、メセナどころじゃないというのなら、
文化事業でございといったご大層な看板はおろさなくちゃいけません。

古川ロッパ 「古川ロッパ傑作集」 Neach NEACH4568
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